• vol.50 パフヘディング

    2009.9.1

    ■カーテンのトップの部分、いわゆるレールやポールに吊り下げる部分をヘディングと呼ぶ。皆さんが普段見慣れている「三つ山」や「二つ山」の他にもさまざまデザインがあるのをご存知でしょうか。その基本は「プリーツ」を主体としてものと「ギャザー」を主体としたものに大きく分かれます。
    ・フレンチプリーツ(いわゆる三つ山)
    ・ゴブレット(足つきの細長いグラスの形に似ています)
    ・ボックスプリーツ(洋服のスカートにもありますね)
    ・インバーテド テート デ バーサタイル  (ボックスプリーツ逆バージョンと言えば想像できるでしょうか。 斬新な柄の出方を狙えるヘディングです。)
    ・スモック・ヘディング (以前コラムでもご紹介。>> こちら
    ・ペンシル(ギャザーヘディングです。)
    ・フリルヘディング
    ・パフ・ヘディング
    ・スロットヘディングなど等・・その他にも沢山。

    その他にもポールを主としたヘディングには、アイレット(はと目)、クリップ、タブ等もあります。

     

    ■今回はパフ・ヘディング: Puffed Heading」をご紹介しましょう (下写真)。あまり見かけないデザインですが、柔らかい生地に適したデザインといえるでしょう。 パフの部分は、時間が経過してもその形が崩れないように、きちんとした処理を必要とします。


     

    ■カーテンのヘディングスタイルはカーテンだけに限定せず、ブラインド(シェード)やカーテンの上部を飾るバランスにと、応用が可能です。「ヘディング・スタイル」の様々なバリエーションを知り、使用する生地の持つイメージを大切にすれば、窓装飾全体のデザインに大きな広がりが出てくるでしょう。

  • vol.39 「色」はオモシロ、楽し、そして難しい

    2009.4.8

    ■ 春爛漫のこの季節。戸外に溢れる春の色たちはウキウキさせてくれる。 そんな時突然、前回のコラムでご紹介したカーテンの色を思い出した。そう言えば、一言で”黄色”と片付けてしまったが、「色はそんなに単純じゃないのよねぇ~」、と気になり色に関する本を開いて見た。「フム、やっぱりこれは、Buttercup yellowってヤツだったのかもね」なんて一人で納得。  
    ■ 色はさまざまなことを連想させてくれるから本当に面白い。今回取り上げた”黄色”で言えば、真っ先に思い浮かぶのが、やはりゴッホの絵のひまわりを象徴する「Provence yellow」。きっとそのイメージがあったからカーテン色もそうなかったのかと。(黄色違いでしたけど・・) 
    ・そして3月のロンドン市内に溢れる黄色は、公園や家の軒先を一斉に飾る黄水仙である。
    ・毎年7月に行なわれる自転車レースで有名なツール・ド・フランス。各ステージの所要時間を足していき、合計した時間が最も少なかった選手が着れる”マイヨ・ジョーヌ”と呼ばれるジャージーも黄色だし・・・。
    ・そして更に、工事中を知らせる黄色と黒の縞模様。「Dangerous yellow」と呼ぶあの独特の黄色。インテリアにはゆめゆめ使いませぬように・・・・。

  • vol.30 日本の家具のルーツ

    2009.1.13

    ■ インテリアには欠かせない椅子やテーブル、とりわけ昔のヨーロッパにおいてベッドは「生と死」を迎えるものとして特別視されていた家具類。 日本における家具の歴史はいつ始まったのか? 先日ケーブルTVで放送された番組はとても興味深く見いった。
    >> 番組案内のHP
    ■その発祥は、開港150周年を迎える横浜・元町。イタリアやイギリス等からやってきた使節の人々は家具も持参で来たのであろう。その修理を依頼されたのが、当時日本の馬具商、後に「バンコヤ(椅子の張替職人)」と呼ばれる人たちだそうだ。その修理屋と小売店が元町に出来上がったとのこと。海外から持ち込まれた椅子の修理から始まった日本の家具の歴史はここ横浜・元町にあったのだ。後に「横浜彫刻家具」と呼ばれ輸出も行なわれていたそうだ。現存するそれらは、「横浜グランド・ホテル」のロビーやマッカーサーズスィートルームで見ることができるという。

    「諸工職業競 テエフル椅子製造」 明治12年3月
    江戸東京博物館所蔵 収蔵庫ライブラリーより

    ■当校生徒さんへメッセージ
    ※ 番組の中で家具制作学校に通っている生徒さんへのインタビュー、当教室の生徒さんでもあったOchika-san。ヘヤスタイル、素敵に決まってましたよ~。 家具の技能国家試験を受験するといっていたけど、その後どうしていらっしゃいますぅ~?
    ※ 今年の秋にイギリスの大学で家具のRestorationを学ぶ為に留学の準備をされているKaori-san。日本の家具の歴史も知ってるともっと楽しいかも・・・(?)。応援してますからね~!!
    2009/01/13 記載

  • vol. 27 テキスタイルデザインの原点を見る

    2008.12.17

    五島美術館で開催されていた「古渡り更紗」展。(10月25日~11月30日2008年) 久々に感動した展示会だった。電車の中吊り広告で案内を知り、友人と出かけていったが、当日は生憎の雨と寒さだったが、行った甲斐があったというものだ。
    展示物は、図録として販売されていたので、購入してきたのだが、その感動の1ページをおすそわけ。 本の横にある生地(右側)は、イタリアの現代の生地であるが、そのモチーフはそっくりではないか!? 確かに美術館の中で友人と二人、「ヒョエー(どうも、二人の口癖らしい・・・) この柄もこの柄も、今の生地のパターンで使われてるよねぇ~」と話していたが、本当に驚くべきことである。安土桃山時代から江戸時代にかけ、南蛮貿易によって渡ってきたこの更紗のモチーフは、日本のみならずヨーロッパにも渡り、そして今尚、生き生きと再現されていることに対する驚きとともに、テキスタイルデザインのひとつの原点を見た思いがする。
    【写真左:「五島美術館図録(P42)」と店頭の生地】

    ※テキスタイルとは、布にプリントされた図案やパターンの意味

  • vol. 26 プラダのタッセル

    2008.12.17

    ■ フランスの某タッセルメーカーのタッセル。どういうわけか、黒の一本が売れ残ってしまった。 「ま、黒ってやっぱり人気がないんだろうなぁ」と思い、店頭から引き下げてしまった。生徒さんとそんな何気ない会話をしていたら、いやいやいました、いました。目の前に。それを探していたというその方が購入してくれました。
    ■さて、そのタッセルの変身したものが、下記の写真。購入したプラダのバッグについていたタッセル。あまりのかわいさにお嬢さんと取り合いだったとかで・・。だったら作っちゃえと、購入した黒のタッセルで変身させてしまったもの。タッセルもこんな変身の仕方があったんですねぇ。
    【プラダのオリジナルタッセル】
    ブランドチャームまでくっついている・・・

    【オリジナルタッセル完成品】
    もちろん、ご本人が作成されたものです。

    ■グリコのおまけ・・・ならぬオマケ裏話。
    今回の話題を提供してくれた愛子さん。その方が着ていた上着。なんとここにもタッセルフリンジがついていたのでした!!

    2008/12/17記載

  • vol.22 シェード vs ブラインド

    2008.8.19

    ほんとに毎日暑い日が続いています。外を歩く時も、なんとなく「日陰: shade」を選び、「日よけ: Blinds」を歩いてしまいますねぇ~!? さて何の話かって。今回はカーテンの一種である、タイトルについてです。
    いろいろな呼び名も、誰かが最初に命名したのであって、オギャーッと産まれたその時に、何を見たかで一体それが何であるかを知るように、私は、英語でその識別を最初に覚えてしまいました。日本はアメリカ英語が主流なので、その呼称は自ずと米語になっています。当初、私は日本での呼称である「シェード」を「ブラインド」といい続け、業界の方を相手に、なんと話の通じない人なんだろう・・・と思っていました。(まぁ、今となっては恥ずかしながらも、懐かしい話デス。ハイ。) 日本ではその機能性から、更に3つに分類され(①シェード、②スクリーン、③ブラインド)、私の混乱は収まるところを知りませんでした。 今でも時々混乱します。
    私のアンチョコ表

    【日本】 【英国】
    シェード(Shade) ブラインド(Blinds)
    ※形状、スタイルは同じですが、そのスタイルの呼び名も、夫々下記のように違います。
    ■シャープ ■ローマンブラインド
    ■ピーコック ■ファンテイル
    ■オーストリアン ■フェストーン
    ■バルーン ■オーストリアン
    ■ルース ■ロンドン
    ■ムーススタイル ■ファンシェープ
    ※その他、日本にはフォールドスタイル、プレーン等も・・。

    きっと混乱は私だけだったわけで!? で、この表が役にたつ人はいないのかもしれません。カナシィーッ。

  • vol.20 創作意欲と布の関係

    2008.6.17

    創作意欲・・・。よしッ、これを作ろう!!  この生地を使い、こんなイメージで、なんて思う、この「創作」と「意欲」という関係がとても曲者である。以前から実感として思っていることを書いてみましょう。
    何か作品をつくる場合、いくつかのアプローチがあると思う。ひとつ目は、生地を見た瞬間に作品イメージが決まってしまう場合がある。「あっ、この生地はこんな作品に仕立てたら素敵だわッ」と思うもの (これは、ほぼ直感と言うか、即決デス。) 二つ目、「これを作りたいんだけど・・この作品に合う生地を探そう!」こんなケース。これが結構時間がかかったり・・するしれません。なかなかビビッとくる生地が見つからないからです。
    ある生徒さんが、ティーコージーに取り掛かかり、次に出席した時に生地が変わっていたのです。「あれ? この前の生地と違うみたいですけど、どうしたんですか?」 「どういう訳か、あの生地は、やっていて創作意欲が湧かないんですよね~」 いやいや、わかります。実は、私も作成途中で投げ出した経験があります。ピンクのシャンブレーでダブルフリルクッションをイメージし、開始後フリルをつける段階で止めてしまいました。なぜって、それはフリルデザインの甘さと、そして色のもつ甘さで、作っている最中に段々気持ち悪くなってきたからです!
    これはあくまでも個人の感覚?? いえいえ、そうではありませんでした。長年業界でお仕事をされている方がこのクッションを見て一言。「このチェック柄だから、フリルが生きるのよねぇ~」「いやー、わかってくれましたかぁ。この生地を使った意図が・・・。」(作り直した努力が報われた瞬間!!) 甘いデザインには、やはり若干辛口デザインの生地の方がしっくり馴染みます。 生地が持つ柄や色、そして作品とのバランスがいかに大切なことかわかっていただけたら、今回のコラムも価値あり、でしたね!! 但し、これはあくまでも”好み”の問題ですので、ご参考までということに・・・。
    【チェック柄の生地に変更された、ダブルフリルクッション】

  • vol.18 ビーズタッセル付きティーコージー

    2008.4.13

    ■ロンドンにある通称V&A (正式: Victoria and Albert Museumヴィクトリア・アンド・アルバート博物館)は、私の好きな博物館のひとつ。 昨年12月のコラムにも書かせていただいたナショナルギャラリーも素晴らしいが、V&Aは特に芸術とデザインに関するコレクション内容とその数の多さは素晴らしく、3,000 年余りに及ぶ多彩な世界文明の遺物がコレクションされています。
    ■今回の新たな発見と驚き!! ウッーこの感動を誰かに話さずにいられよか・・・。「ねぇ、ねぇ、見て見て。これってすごいと思いません? だって1860年のこの時代に既にガラスのビーズタッセルがついたティーコージーがあったなんて!! 今のビーズブームも真っ青デス」。

    Copyright© V&A Museum All Rights Reserved
    >> V&A MuseumのWebサイト, ホームページ
    ■TEA COSY About 1860
    Techniques & Materials: Glass beads on a linen canvas ground lined with silk; with twisted silk braid trimming and silk and glass tassels
    Place of Manufacture: Probably embroidered in England
    Height: 27 x Width: 46 x Depth: 7.5
    【Object Type】
    This tea cosy decorated with glass beads is a typical example of mid-19th-century amateur embroidery. The design of roses and lilies on a bright blue ground is characteristic of popular floral design in the 1850s and early 1860s. The cosy would have been kept for special occasions and used with the ‘best’ silver or porcelain tea pot when entertaining important visitors for afternoon tea.
    【Materials Making】
    Beads were popular for all forms of Victorian embroidered decoration on dress and for a wide range of domestic items in middle-class homes, such as upholstery, cushions, bell-pulls and fire screens. The glass industries of Germany and Italy produced and exported vast numbers of glass beads for this use in a wide variety of colours. The beads used in this example were known as ‘pound’ beads as they were purchased by weight. This tea cosy is decorated with two popular types: those in bright opaque colours and others in translucent clear shades.
    【Gallery Label】
    This tea cosy would have been made from a kit or perhaps from a pattern in a ladies’ magazine. It would not have been used in fashionable homes, as it was advised that a tea cosy ‘should never be seen in a lady’s drawing room’. Instead, tea cosies became popular in more modest homes.
    Given by Mrs M. O’Meara
    Museum no. Circ.177-1963

    ※掲載許可申請中。幻の写真に終わるか・・・

  • vol. 14 インテリアの視点で絵画を見れば・・・

    2007.12.17

    ■ 絵画は、描かれたその時代性や地域性を反映して描かれていますから、ちょっと視点を変えて眺めてみると、いろいろおもしろい発見があるものだと常々思っています。
    例えば、左の絵、皆さんおなじみのゴッホによって描かれた絵「椅子」(1888年)。フランスのアルルで短い期間をゴーギャンと住んだ時に描かれたもので、ハンス・J・ウエグナーのYチェア(1949年)のデザインに通じるものを感じると同時に、こんな椅子をおいたらきっとお部屋もプロバンス風!?

     

    ■ また、左の絵はロンドン、ナショナルギャラリー所蔵の「The ambassador(大使たち)」。1533年にハンス・ホルバインによって描かれたものですが、(実物の大きさは、横3mほどもあろうと思われるとても大きな絵でした。) その頃日本では、畿内各地で一向一揆が起き、興福寺が焼かれた時代。<ちょっと日本史を調べてみました(笑) > なんと、この絵の後ろには、ダマスク模様の緑色の生地(カーテン)が存在している。そして、キャビネットの上にはタピストリーが!! インテリアに関する歴史の長さをつくづく感じさせられます。
    もっと詳しく見たい方は、こちらでどうぞ。
    >> ナショナルギャラリーのWebサイト

     

    ■ 海外旅行で美術館に足を運ばれた際には、絵そのものを楽しむと同時に、視点を変えて見る絵画は、もっと興味深いものになるかもしれませんね。ひょっとすると感動もの!?

     

     

     

     

    2007/12/17記載

  • vol. 10 たかがカーテン、されどカーテン・・・の”裏地”

    2007.8.19

    当店はいわゆる「カーテン屋」ではないのですが、しかし、様々なお客様の声を聞く機会があります。カーテンは「ソリューション(問題解決策)」と「デザイン」の融合だと思っていますが、さて学校の講義的な話はさておき、今回は「裏地」についてです。
    ■裏地の必要性その1
    旅行から帰ってお部屋の空気を入れ替えようとしたら、この猛暑でカーテンが熱ッ!! いやー、どんなに酷暑に耐えていたことか。カーテンの当然の役割としてこの暑さや寒さよけにとても貢献している。それにこの夏の日差しはとっても曲者です。これまでの私の経験から言うと、コットンレースのカーテンは劣化しボロボロ(洗濯のせいもありますけど) になったし、日光にさらされて柄物の色は飛んでしまうし・・、それほど酷使されているんです。その対策は、ズバリ「裏地」をつけることです。
    ■裏地の必要性その2
    皆さん口々にいう話ですが、「雑誌や本で見たものとのイメージが違い、風合いがない、なぜ?」、「なんか家の新しいカーテンは薄っぺらい感じがする」これってどういう意味でしょう? カーテンが下がっているとき、開けてカーテンをまとめたとき、一枚の布で仕立てたカーテンと裏地をつけたカーテンが持つその風合いは全く異なります。英国では、さらに表地と裏地の間にインターライニングをいれます。日本の風土にそれが機能的にいいかどうかは別問題ですが、しかし、本当に一枚布と裏地をつけた場合との違いは、ふわっとしたボリューム感が出て、風合いが違うことは一目瞭然。お値段の高い生地を日光から守る上でも、そして風合いを出す観点からも裏地の存在は欠かせません。「カーテン屋さんが提案してくれなかった・・・」んーン、これからは皆さんが知り、賢く主張すべき点だとつくづく考えさせられます。
    カーテンはお金がかかる、確かにそう思います。だからこそ慎重にならざる負えないものなんですが、どうしても建物の部分の器が優先され、予算の余った範囲で・・・と後回しになっているのが実情のようです。ましてや裏地まで気が回らない、かもしれません。しかし、「本体布の保護」、「遮音、防寒・暑」、「風合い」と”裏地の効用”はとても大きいと感じています。
    新調を考えている方は、是非「裏」まで気遣い検討してみてくださいね。
    2007/08/19記載